
紛らわしい名称
マイクロソフトOfficeにはブラウザ上で動作するWeb版があります。
昔は「Office Online (オフィスオンライン)」という名称だったですが、2019年7月に以下のように名称変更されました。
新名称 (2019年7月〜) | 旧名称 |
---|---|
Office | Office Online |
Word | Word Online |
Excel | Word Online |
PowerPoint | PowerPoint Online |
OneNote | OneNote Online |
つまり、名称から「Online」が取れてしまったのです。
この変更によって例えば「Excel」と言った場合に次のどちらを指すのかわからなくなってしまいました。
- Windows/Macで動作するExcel
- ブラウザ上で動作するExcel(旧称: Excel Online)
そのため「Web版のOffice(Office on the web)」などとも呼ばれていますが、紛らわしいのでこの記事ではブラウザ上で動作するOfficeにあえて旧称(Excel Onlineなど)を使用しています。
無料版の制限
Office Onlineは無料で使えます。
通常のOfficeと比べて機能制限(後述)があるとはいえ、マイクロソフト純正のOfficeが無料で使えるのです。
しかし、Office Onlineの無料版には以下の制限があります。
- 商用利用できない
- Officeスクリプトが使えない
商用利用には法人向けライセンスが必要
商用利用とは仕事で使うことです。
Office Onlineの無料版では商用利用ができません。
商用利用するには以下の法人向けライセンスが必要です。
- Microsoft 365 Business Basic (旧称 Office 365 Business Essentials)
- Microsoft 365 Apps for business (旧称 Office 365 Business)
- Microsoft 365 Business Standard (旧称 Office 365 Business Premium)
- Microsoft 365 Business Premium (旧称 Microsoft 365 Business)
- Microsoft 365 Apps for enterprise (旧称 Office 365 ProPlus)
- Office 365 E3
- Office 365 E5


Officeスクリプトが使えない
Office OnlineではVBA(マクロ)が使えません。
VBAはExcelやWordで自動処理をするための機能です。
そのVBAが使えない代わりにOffice OnlineのExcelでは「Officeスクリプト」(Office Scripts)が使用できます。
OfficeスクリプトはVBAと同様に自動処理をするための機能ですが、ベースとなっているプログラミング言語がブラウザ上で動作するJavaScriptになっています(VBAはVisual Basic for Applications)。
Office Onlineの無料版ではこのOfficeスクリプトが使えません。
Officeスクリプトを使うためには前述の法人向けライセンスか以下の教育機関向けのライセンスが必要です。
- Office 365 A3
- Office 365 A5
ChromebookやLinuxでも使える
通常のフルブラウザで動作するため、通常のデスクトップ版が未対応のChromebook(Chrome OS)やLinuxでも使用可能です。
iPadやAndroidでは使えない
Office Onlineはいわゆるフルブラウザでしか動作しません。
iPadやAndroidのブラウザはモバイル版のため、Office Onlineは使えません。
機能の制約
Office Onlineは通常のOfficeに比べて機能的な制約があります。
- ファイルの保存先はOneDriveのみ
- インターネット接続が必須
- 接続速度が遅いと動作がもたつく
- マクロ(VBA)が使えない(代わりにOfficeスクリプトが使える)
- ショートカットキーの一部が使えない
Word Online
- 目次の作成
- 差し込み印刷
- ページ番号、行番号
- 行間調整
- 高度なテーブル編集
- ルーラー・グリッドライン
- Word用アドイン
- 図表番号
- 引用文献と資料文献の追加
- 定型句、送付状、⽂献⽬録、⽬次、索引、数式、透かし
- ⽂書パーツとテーマ
- IRM(Information Rights Management)で保護されたドキュメントの編集
Excel Online
- グラフの種類が少ない
- CSVファイル
- 図の編集
PowerPoint Online
- リアルタイムでのプレビュー
- オーディオの追加
起動方法
Office Onlineにはいくつかの起動方法があります。
- office.com
- Office(Microsoft 365)アプリ
- OneDrive
- インストール
Office.com
Office.comとは以下のような機能を提供するサイトです。
- Office Onlineの起動
- 通常版オフィスのインストール
- Officeのサポート情報の提供
- Outlook.comなどマイクロソフトのサービスへの移動
以下のボタンをクリックするとブラウザでOffice.comが開かれます。
下図の赤で囲んだアイコンをクリックするとExcel Online、Word Online、PowerPoint Online、OneNote Onlineが起動します。

ちなみに「Outlook」と「OneNote」のアイコンもOffice Onlineでは?
と思う方もいるのではないでしょうか。
「Outlook」アイコンをクリックしても「Outlook Online」のようなアプリが起動するわけではなく、Outlook.comへ移動します。
Office(Microsoft 365)アプリ
OfficeアプリはOffice.comのアプリ版といった感じです。

Office(Microsoft 365)アプリとOffice.comとでは以下の点が異なります。
Office(Microsoft 365)アプリ | Office.com | |
---|---|---|
対応OS | Windows | Windows Mac Linux |
対応ファイル | OneDriveのファイル ローカルファイル | OneDriveのみ |
対応Office | 通常のOffice Office Online | Office Online |
Office(Microsoft 365)アプリは通常版Officeがインストールされていれば、Office Onlineでなく通常版を起動します。
そのため、Office(Microsoft 365)アプリでOnlineと通常のOfficeを併用することはできないようです。
OneDrive
OneDriveとはマイクロソフトのオンラインストレージサービスです。
Office OnlineはOneDrive上のファイルしか扱えません。
ただし、Windowsは標準でOneDrive上のファイルとローカルファイルを同期しています。
そのため、ローカルのOneDriveフォルダーにOfficeファイルを置けばOffice Onlineで扱えます。

OneDriveからOffice Onlineを起動するにはブラウザでOneDriveのサイトを開きます。
Office Onlineで新規ファイルを作成するには「新規」をクリックし、「Word文書」や「Excelブック」などを選択します。

また、OneDriveサイトで既存のOfficeファイルをクリックするとファイルに対応するOffice Onlineが起動します。
インストール
ブラウザ上で動作するOffice Onlineを「インストール」すると言うと不思議に思われかもしれません。
Office OnlineはPWA(Progressive Web Apps)に対応しており、ブラウザを使った「インストール」が可能です。
PWAとはブラウザアプリをローカルアプリケーションのように扱う仕組みです。
Windows標準ブラウザのEdgeはOffice Onlineのインストールに対応しています。
例えばExcel OnlineをインストールするにはChromium版EdgeでExcel Onlineを開き、右上の「…」メニューから「アプリ」-「このサイトをアプリとしてインストール」を選択します。

アプリ名を入力し、「インストール」ボタンをクリックします。

スタートメニューとデスクトップにExcel Onlineへのショートカットが作成されます。

それらのショートカットを起動するとOffice Onlineをまるで普通のアプリのように使えます(アプリのように見えるのは実際にはEdgeブラウザのウインドウです)。

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