Office Personal 2019はWindowsでは最も安価なOfficeスイートで、「家庭向け」のエディションとされています。
また、安価なPCに搭載(プリインストール)されているOfficeのほとんどがこのPersonalのプリインストール版です。
Office Personalはたしかに安価なのですが、お得とは思えません。
家庭向けとも思えないのです。
単体購入との価格差
Office PersonalにはExcel、Word、Outlookが含まれています。
Excel、Word、Outlookを単体購入すると合計47,952円かかるのに対し、Office Personalであれば32,184円と、差額の15,768円分だけお得なように思えます。
単体購入 | Office Personal | |
---|---|---|
Excel | 15,984円 | ◯ |
Word | 15,984円 | ◯ |
Outlook | 15,984円 | ◯ |
合計 | 47,952円 | 32,184円 |
Outlookとは?
Outlookという名前はマイクロソフトの複数のサービスやソフトで使われていて紛らわしいのですが、マイクロソフトOfficeのOutlookとは企業が使うExchange Serverのクライアントソフトを指します。
Exchange Serverを介して社員間で連絡先や予定を共有したり、会議などのスケジューリングをしたり、転送不可メールなどインターネットメールではできない機密性の高いメールをやりとりしたりできます。
こうしたExchangeクライアントとしての機能が詰め込まれているOutlookは重量級のアプリです。
ExchangeクライアントとしてのOutlookの機能を考えれば、重い、遅いのもやむをえないのかもしれません。
しかし、Exchangeサーバー無しでOutlookを使うのであればとても重い、遅いだけのPIM機能付メーラーでしかありません。
OutlookがPIMとして使われた時代
PIMとはPersonal Information Managerの略で、個人情報を管理する機能のことです。
前述の通り、OutlookはExchangeサーバーで管理される企業情報(企業メールも会議スケジュールも個人情報ではありません)にアクセスするためのExchangeクライアントです。
しかし、Exchageサーバー無しでOutlookを使うこともできます。
個人の連絡先、予定、メモなどを管理するPIMとインターネットメーラーとしてOutlookを使うわけです。
このPIMとしてのOutlookの利用はまだスマホがなく、Outlookの機能が少なくて軽かった時代には意味があったと思います。
しかし時代は変わり、PIMの役割はスマホが担うようになりました。
個人の連絡先や確認するのにいつでも手元にあってサクサク動きそのまま電話をかけられるスマホと、重くて遅くて電話がかけられないOutlookのどちらを使うか?
答えは明白でもはやOutlookをPIMとして使う時代は終わったということです。
ちなみにOutlookではメモも管理できますが、ノート(メモ)アプリであるOneNoteがOfficeに追加されてからOutlookのメモ機能の位置づけは曖昧になってしまいました。
Office Personalは本当に家庭向けなのか?
知り合いがOutlookをExchange Server無しでインターネットメーラーとして使い、重い、遅い、と嘆いていました。
なぜ、Outlookを使っていたかといえば購入したOffice Personalに含まれていたからです。
しかし、ここまで読んでくださった方なら疑問に思うはずです。
個人向けのOffice Personalに企業で使われるExchangeのクライアントであるOutlookが含まれるのは一体どういうことなのか?・・・と。
おそらくOutlookをPIMとして使えという意図だと思いますが、無理があります。
現代のPIMはスマホであり、さらにOutlookが低機能で軽かった時代ならともかくOutlookはPIMとして使うには重すぎます。
さらにOffice PersonalにはWordやExcel以上に個人用途で活用できると思われるOneNoteが含まれていません。
どうもOffice PersonalとはOutlookがPIMとして使えた時代をひきずり、一番最後にOfficeに追加されたOneNoteを考慮していない、時代遅れの個人向けエディション、、、
そんな感じを受けます。
Office Personal vs 単体購入
もし、ExcelとWordしか使わないならOffice Personalより、ExcelとWordを単体で購入したほうが216円だけ安くなります。
単体購入 | Office Personal | |
---|---|---|
Excel | 15,984円 | ◯ |
Word | 15,984円 | ◯ |
合計 | 31,968円 | 32,184円 |
次のどちらを選択するのがいいでしょうか?
- 216円を節約するためにExcelとWordをだけ単体購入する。
- 使う気はないけど216円でOutlookがついてくるからOffice Personalを購入する
どちらもお得感はないかと思います。
複数のOfficeアプリが割安で使えるOfficeスイートのメリットがないからです。
Office Personal vs Office 365 Solo
Office 365というサブスクリプションのOfficeがあります。
サブスクリプションとは料金を支払っている期間、すべてのOfficeアプリを使えるという契約です。
Office 365には教育機関向けのOffice 365 Educationなどいくつかの種類がありますが、一般向けはOffice 365 Soloです。
Solo(単独)はPersonal(個人)に近い意味です。
Office Personal 2019 | Office 365 Solo | |
---|---|---|
ライセンス | 永続 | サブスクリプション |
費用(1年目) | 32,184円 | 12,744円 |
価格(2年目) | 25,488円 | |
価格(3年目) | 38,232円 | |
Windows 10 | 2台まで | 無制限 |
Windows 8.1 / 7 Windows Server | ☓ | 無制限 |
Mac | ☓ | 無制限 |
iOS / Android | ☓ | 無制限 |
バージョン | 2019固定 | 常に最新 |
Excel Word Outlook | ◯ | |
OneNote PowerPoint Access Publisher | ☓ | ◯ |
OneDrive 1TB | ☓ | ◯ |
費用の比較を3年としているのはマイクロソフトOfficeは2〜3年で新しいバージョンが発売されるためです。
つまり、2〜3年で新しいバージョンへの買い替えを迫られるわけです。
Office 365 Soloは2019などの特定のバージョンでなく、常に最新のバージョンに更新することでこの買い替え問題を解決しています。
さらに、Office 365 Soloには以下のメリットがあります。
- PowerPoint、OneNote、Access、Publisherを使える。
- インストール台数が無制限
- Macでも使える。
- 1TBのOneDrive(オンラインストレージ)が使える。
- iPadやAndroidなどでも使える
Office Personalを購入するくらいならOffice 365 Soloのほうがいいのではないでしょうか。
コメント
[Office Personalは本当に家庭向けなのか?] についてコメントします。
あなたの説明は大部分で適正です。 ただし、 私は Microsoft Outlook を非常に便利と かんじています。 それについて説明させてください。
私は Thunderbird をメーラー、 Outlook をスケジュール通知ソフトウェアとして使い分けています。 スケジュール管理は Thunderbird でも可能ですし、 それ以外のフリー ソフトウェアも多数存在します。 しかし、 以下の点で Outlook が圧倒的に有利です。
・日本の祝祭日などが最初から表示されています。
・スケジュールの時間が過ぎていても通知してくれます。
これは ほかのソフトウェアでは実現できません。 具体的なスケジュールは [家賃振込み] [薬を飲む] などです。 ほかにも、 年末に [ポイント有効期限が近い] など、 [自分では絶対に忘れそうなこと] を Outlook に書きまくっています。 つまり、 実際のスケジュールというより むしろ [備忘録専用ソフトウェア] です。 後は Outlook をタスク トレイに 放り込んでおくだけです。 Outlook に こういう利点もあることを伝えておきたかったのです。 価格は高いですが、 それに見合った価値は あります。